仕事をがんばっているが賃金が上がらない、現状の賃金ではぎりぎりの生活をしても、やっていくことが困難な人が多くいます。
一般的には、ワーキングプア層と言われています。なぜ働いても豊かになれないの?脱出方法はあるの?
ワーキングプアになる原因と解決策を解説してきます。
「自分の好きなことをしていきたい」「会社に縛られたくない」との価値観の変化にて、自らワーキングプア層にいる人も多くなってきています。ただ、ある程度の収入がないと好きなことも出来ないなど、やはりワーキングプア層から脱出は必要です。
このブログでは、ワーキングプア層から脱出の手がかりを紹介していきます。
●ワーキングプアとは
まずワーキングプアとは、「労働力人口のうち貧困線以下の者」と定義されています。
【貧困線は、世帯可処分所得の中央値の50%】
厚生労働書調査では、中央値が437万円であり、貧困線は218万円(437万円×50%)となります。
よって、ワーキンブプア層は、収入が218万円以下の世帯をいいます。
うーん、何か難しいですね。
簡潔にいうと、
働いて収入を得ているが、収入水準が低く生活していくことが困難である労働者のことです。
簡単な数字で示すと、ワーキングプアは収入218万円未満の人のこと指します。
ワーキングプア層は、日本国内の全世帯では、15.4%の割合となっています。約30年前からは増加しています。
正規雇用と非正規雇用の実態
ワーキングプア層では、非正規雇用が大半を占めます。
ワーキングプア層=非正規雇用
2021年の総務省調べによると、雇用数の約36%が非正規雇用となっています。ここ6年間はほぼ割合は一緒です。
また、2021年の総務省調べによると、非正規雇用についている理由は、自分の都合のよい時間に働きたいからが32%と一番多いです。
正規の仕事がないからとの理由は11.1%とかなり低い数字になっています。働く価値観から非正規雇用になっていることがわかります。
給与所得者の男女格差
次は、給与所得者を対象に、国税庁の調査結果をもとにみていきます。
男女格差はかなりありますね。100万〜200万円年収層の割合は、圧倒的に女性が多いです。男性依存度が高いことも影響あるとのことですが、職場の受け皿が少ない、母子家庭での子育てなどの原因もあります。
国税庁(令和元年分民間給与実態統計調査 統計表)
生活保護費とは
貧困層に分類される生活保護費についても、把握します。
2021年3月時点では、生活保護費は全国民のなかで164万人が受給されています。(厚生労働省 非保護者調査)
厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。
最低生活費ー収入=生活保護費
生活保護費は、住んでいる地区により違いがあります。また、生活保護費は収入がある場合は、その収入分が引かれて支給額が決定します。
今回は、横浜市に住んでいる一人世帯の場合を例に算出しました。生活保護費は年間147万円となります。生活扶助費と住宅扶助費を足したものとなります。
生活保護費:生活扶助77,213円 + 住宅扶助46,000円=123,213円 ×12ヶ月=147万円
なぜ働いても豊かになれない
フルタイムで働いても、所得が低く貧困層から抜け出せないワーキングプア層。厳しい現実です。
ワーキングプア層はいわゆる非正規雇用の形態での労働者が大半を占めます。
非正規雇用では、正規雇用に比べると大きな待遇格差があり、なかなかその格差は縮まっていきません。
具体な原因や解決策をみていきます。
◆原因
ワーキングプア層になっている原因は、主に3点をあげます。
・非正規雇用の割合の増加
非正規雇用の割合は、この37年間の間に、21.4%と大幅い増加しています。
2021 総務省労働力調査を元に作成
非正規雇用となってしまう次のような課題が出てきてしまし、なかなかステップアップが出来なくなってしまいます。
- 非正規雇用となってしまうと、スキルを身に付ける機会がなく、単純労働となってしまいます。
- 正社員であれば新卒で入社した時から研修やOJTによって教育を受け、能力や専門知識を獲得しやすい。またそういった人材は経験を重ねるにつれて高度な力を身につけ、市場価値の高い人材になるチャンスがあるが、非正規雇用だとその機会がない。
- 正社員であれば新卒で入社した時から研修やOJTによって教育を受け、能力や専門知識を獲得しやすい。またそういった人材は経験を重ねるにつれて高度な力を身につけ、市場価値の高い人材になるチャンスがあるが、非正規雇用だとその機会がない。
- パート・アルバイトや派遣社員といった不安定な立場ではキャリア形成が難しく、年齢を重ねるごとに、ワーキングプアから抜け出せなくなる悪循環がついてまわります。
- 正社員と違い、契約更新ごとに賃金増加は見込めず、長く働いて収入増は見込めない。
企業は固定費抑制にはまず人件費を削減
企業側が筋肉質的な強いスリムな組織作りを目指すことが多くなり、固定費である人件費抑制から、非正規雇用を増やしている。
これにより、更に非正規雇用増となりなかなワーキングプア層が減少しない悪循環に陥っている。
過去の就職氷河期につけが来ている
バブル崩壊後の1993年から2005年に学校を卒業して、就職活動をした年代を就職氷河期といわれています。
この就職氷河期が到来し、満足な就職活動ができなかったことも、その後においても正規社員へのシフトが出来ていないことも大きな要因です。
価値観の変化
今までは、正社員として新卒入社した会社で定年まで働くことが一般的でした。
しかし、現在は「人生の生きがいは仕事ではない」「自分の好きなことをしたい」「出世したくない」という、価値観の多様化によって、自発的にワーキングプアを選択する人も増えているのです。
◆解決策
ワーキングプア層を減らしていきには、国などの制度上の支援が構造上必要になってきます。
働きたい人には働くスキル、受け皿などを支援していくことが大切であり、自由に行きたいなどの人に対しては「テレワーク」などの就労形態を提供していくことも大切になっていきす。
最低賃金
最低賃金とは:最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
最低賃金の引き上げは、雇用も賃金も増やす可能性がある。しかし、一方で雇用側からすれば、ある程度雇用する人を選別する必要も出てきて、雇用の機会が減る可能性も秘めています。
経済的援助
:経済的援助を行い、いずれ自立するための土台とする対策はワーキングプアを減らす上で大切なのです。
就労支援
働く意思がある人の就労を促進し、能力を発揮できて収入も得られるようなサポートを行うことも大切です。
- 就職氷河期世代支援プログラム
- ハローワークによる就労支援
- ハロートレーニング(公的職業訓練)
- 能力開発支援(教育訓練給付)
介護・子育て支援
介護施設や保育園などを拡充したり、介護・保育の人員を増やしたりといった取り組みも効果的な対策になります
「同一労働・同一賃金」制度
正規労働者と非正規労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指す
- 2020年4月から大企業スタート
- 2021年4月から中小企業スタート
現状はスタート切ったばかりであり、同一労働の考え方などがまだまだ曖昧なところもあり、解消には時間がかかるでしょう。
●本気で脱出する
ワーキングプアとは?ワーキングプア層の問題点、解決策などをみてきましたが、このワーキングプア層を本気で脱出するにはどうするのか紹介していきます。
本気でワーキングプアを脱出するには、以下3点を紹介します。
- 副業
- 支出、娯楽を減らす
- 転職
副業
現在は数多くの副業が選択出来るようになっています。
自己投資が少なく、スキルが学べ蓄積していくようなものに挑戦することが必要とです。
単に、飲食店に働くなどは、現状の仕事の延長にしかならなく、いつまでもワーキングプアから抜け出せません。
少しでも資金の余裕が持てることで、更にステップアップして意欲も湧いてきます。スタートする時期はいつからでも遅くありません。
支出・娯楽を減らす
無駄の支出を極力抑えることが大切。身近なことでは、携帯電話は格安SIM利用、自動販売機でペットボトルなど買わない、コンビニより格安スーパーを利用するなど、無駄の排除が大切。
また、娯楽ではパチンコなどのギャンブル、タバコなどは即刻やめるべきです。資金、時間の無駄となります。次へのステップアップに、お金、時間を使うことです。
資格取得、各種技能の習得などスキルアップなど図る機会を作ることです。
転職
現状を客観的に分析して、今までの経験、スキルを洗い出し、アピールできることを把握。
ステップアップ出来る企業へ転職を考えることも、必要です。
ただ、転職への不安は大きく、一歩踏み出す勇気が必要です。まずは、副業、支出・娯楽を減らすことなどからスタートする選択を検討するこも大切です。
●まとめ
ワーキングプアを脱出するために、「なぜ働いても豊かになれないか?」の原因と解決策についてみてきました。
- ワーキングプアとは、働いているが低収入(218万円程度以下)のため、生活が困難な人を指します。
- 原因
- 非正規雇用の増加
- 企業側の人件費削減
- 就職氷河期の後遺症
- 価値観の変化
- 解決策
- 国の制度上の支援が構造上必要となる。
- 本気で脱出
- 副業
- 支出・娯楽を減らす
- 転職
ワーキングプア層の中には、色々ステップアップしたくても、様々劣悪な環境により今が精一杯との人も多くいるのは実情でます。この場合は、「生活困窮者自立支援制度」が平成27年よりスタートしています。
まずは、そこからステップアップする土台を作ることも検討することが必要です。
また、価値観の多様化で「好きに生きる」「会社に依存したくない」との理由でワーキングプア層になっている人も多いです。テレワークなどの就労形態も変化してきています。現況を見直すことも大切かと考えます。
「好きに生きる」「会社に依存したくない」に「余裕のある生活」をプラスすると更に自分らしい生き方が充実出来ることになります。
副業などにより新しい収入を生み出すことが必要かもしれません。
これからの人生を考える
ワーキングプアを避けるためには、、会社に依存しない経済的に安定し、さらに充実した人生を送るために、会社以外の収入を確保する副業があります。副業することで、会社に全て依存することがなくなりストレスも軽減され、経済的な安定から将来の不安も解消され、切り詰めた生活から解放されていきます。
50代の人は1年でも早く新たな収入源を確保するように行動することが大切となってきます。また、30代、40代の人も早めに対策をすることで安心して50代を迎え余裕を持った人生がおくることが可能になります。
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