企業は、2021年には65歳までの雇用確保措置が義務化になり、また70歳までは就業確保という努力義務が課されました。
ただ、企業は定年を65歳や70歳へ引き上げなくても、継続雇用すればいい制度なんです。
実際は8割強の企業が定年を60歳のまま据え置いて、一般的に60歳が定年として、65歳まで企業に再雇用されることがほとんどですね。
定年後に再雇用時の給与水準がどれぐらいになのるか?下がった給与は何か補助が出るのか心配です。
私は30年間メガバンク勤務にてライフプランナーも経験してきました。
FP1級や宅建を保有しています。現在は第二の職場勤務中。
この記事では、再雇用時の給与水準や不足分をカバーする制度について紹介していきます。
60歳定年後の再雇用時の心構えができると思います。
定年後の再雇用とは
定年は思っているより早くきました。私の場合は銀行勤務のだったため53歳から55歳で定年退職となりました。銀行規定では60歳ですが・・いまだになぞです。
一般の企業では約8割強がまだ定年を60歳と定めています。
2021年には65歳までの雇用確保措置が義務化となり、60歳から65歳まで毎年更新の再雇用契約を企業と結ぶことになります。この時に当然に給料は引き下がります。
雇用確保措置の義務化
雇用確保措置の義務化について簡潔にまず説明しておきます。
定年を65歳未満に定めている事業主は、次の①〜③のいずれから措置を講じなければならない。と義務付けされています。
①65歳以上に定年の引き上げ
②定年制度の廃止
③65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)の導入(※)
(※)③継続雇用制度とは、本人の希望によって定年後引き続き雇用する制度です。
- 再雇用制度:定年に達した時点で一旦退職して、再雇用となります。退職金はその時点で支給され嘱託として雇用される場合が多いです。
- 勤務延長制度:退職せずにそのまま継続して雇用されることです。ただ、この制度を適用している企業は8.5%でほとんどないのが現状です。(令和2年民間企業の勤務条件制度等調査結果の概要)
詳細はこちらを参照
再雇用時の給与水準は
再雇用時の給料水準は残念ながら下がってしまいます。その分、仕事内容や雇用形態も変わる部分も大きくなりますが。実際は仕事内容が部下がいなくなく、責任が軽くなるなど、人によってはもっとバリバリ責任ある仕事をやりたいのにと思うこともあるでしょう。
再雇用後の給料水準
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査を参考にすると、フルタイム勤務の継続雇用者(再雇用)は、2割から3割ダウンとなります。
思っているほど減らないと感じますが、大企業などは55歳で役職定年として3割〜4割の給与ダウンとなっているので、実質現役バリバリの時より約50%程度となっています。(現役時100✖️役職定年7割✖️定年再雇用時7割=49%)
60歳から65歳はまだまだ働ける元気があるため、給与減はモチベーションが下がりますね。
ただ、もともとは60歳定年が65歳まで雇用義務が発生したため、約5年間は同じ企業で働けることができ新たな就職活動をしないで済むメリットもあります。
再雇用となった時の補助制度はなにかあるの
60歳定年後の再雇用となった場合には、企業から受けとる給与以外に何か支給される制度はあるのでしょうか?
「在職老齢年金と聞いたことがあるよ!雇用保険もあるはず」との声も聞きます。いったいどうなんでしょうか。
結論からいいますと、現在61歳以下の人は老齢厚生年金の支給が65歳以降となることから、
- 60歳〜64歳までは高年齢雇用継続基本給付金を利用
- 65歳〜は老齢厚生年金を利用
することになります。それぞれの給付金についてみていきましょう。
給付金の種類
定年後の給料減少により、安定した生活が厳しい人がほとんどではないのでしょうか?まだまだ住宅ローンや子供の生活費など負担が残っている場合もあります。
雇用保険制度の「高年齢雇用継続基本給付金」が利用可能
高年齢雇用継続基本給付金とは、
- 雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者に対して
- 賃金額が60歳到達時の75%未満となった方を対象に、最高で賃金額の15%に相当する額を支給するものです。
受給資格
- 原則として60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が60歳時点の75%未満となっている方
- 60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
- 被保険者であった期間(※)が5年以上あること。
受給額の例
60歳到達時の賃金月額と比較した支給対象月に支払われた賃金額の低下率に応じた支給率を、支給対象月に支払われた賃金額に乗ずることにより高年齢雇用継続給付の支給額を計算します。
下記の例で大体のイメージをつかんでもらうわかりやすいですね。お小遣い程度は支給されます。
定年後に下がった給与分は到底カバーはできません。
給付金の1ヶ月でもらえる金額の例です。詳細は厚生労働省ホームページでご確認ください。
60歳到達時の賃金月額が30万円である場合の支給額の例です。
引用元:厚生労働省ホームページ
1.支給対象月に支払われた賃金が26万円のとき
賃金が75%未満に低下していませんので、支給されません。
2.支給対象月に支払われた賃金が20万円のとき
低下率が66.67%で61%を超えていますので、支給額は16340円です。
3.支給対象月に支払われた賃金が18万円のとき
低下率が60%ですので、支給額は27000円です。
在職老齢年金はもらえるの?
まず在職老齢年金とは
就労し、賃金を得ながら年金を受給している人(厚生年金の被保険者及び70歳以上の使用される人)は、賃金+年金の合計額が支給停止調整額(47万円)を上回る場合は、賃金2に対し、年金を1停止する。
ことをいいます。
ここの読者を現在の年齢を60歳以下と限定した場合は、老齢年金支給が65歳からになるため、60歳〜64歳までの在職老齢年金支給については関係ないものとなります。
なお、65歳以上で更に働き続ける人は、会社からの賃金と在職老齢年金をもらえます。
賃金と年金月額の合計額が、47万円を超えると、47万円を超えた額の1/2の年金額が支給停止となりますので気をつけてください。
まとめ
定年後の再雇用で給与水準は下がるのか?また厚生年金や助成金で不足分カバー可能かについてみてきました。
- 定年後の再雇用の給与水準は2割〜3割程度引き下がります。ただ、大企業では55歳で役職定年で3割、定年で3割の給与引き下げでトータル現役時の50%になっていまいます。
- 不足分のカバーは、
- 60歳〜64歳は「高年齢雇用継続基本給付金」の支給がありますが、金額は2万円前後となり十分とはいえません。
- また、65歳以上は給与と在職老齢年金があります。合計月額47万円未満なら老齢年金が全額支給される制度となっています。
- 60歳〜64歳は「高年齢雇用継続基本給付金」の支給がありますが、金額は2万円前後となり十分とはいえません。
まだまだ60歳定年の企業が多いため、雇用は65歳まで守られるが給与水準は引き下がってしまいます。
60歳はまだまだ元気です。定年で給料が下がりあわてることなくライフプランを考えていくことは大切ですね。
これからの生活について
企業の定年は60歳が大半です。この時点で給与水準は下がってしまいます。
人生100年時代のなかで、第二の人生も余裕を持って楽しく過ごしたいものですね。
50代の人は1年でも早く新たな収入源を確保するように行動することが大切となってきます。また、30代、40代の人も早めに対策をすることで安心して50代を迎え余裕を持った人生がおくることが可能になります。